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官官接待と景気とは? ─今さら聞けないソレなあに─

このコーナーは、社会人4年目のoy(お~わい)が、社会の仕組みや日本の常識などさまざまなジャンルで、今さら聞けない基本的な疑問をttt(照井保臣)氏に聞いたものです

oy
「このあいだタクシーの運転手さんに、盛り場が不景気なのは官官接待がなくなったからだって聞いたけど、官官接待って誰が誰を接待することですか。官は官庁の官でしょう? 官民や民民って話しもしていたけど…」

ttt
「カンカン、カンミン、ミンミンなんて鳥かセミの鳴き声のようだけどね。下に接待って言葉がつくと、とつぜん社会性を持った言葉になるね。タクシーの運転手さんが言っていた不景気の話は、本当のことだよ」

oy
「セミの鳴き声って・・・まぁそれは大目に見ます。でも、接待と景気ってわかりやすい図式ですよね」

ttt
「そうだね。今の不景気は、官官接待が廃止された影響が強いと思うね。というのは官官接待というのは、お役人がお役人を接待することだから、そのお金は国民が収めた税金ということになる。しかし、役人にとっては身銭ではなく、しょせん他人の金というか公金だからね。あまり遠慮しないで使うし、それに年度予算制だから使い切らなければ次の予算がもらえないので、毎年決まった額は確実に使うことになる。盛り場の料亭や飲食店にとっては、これが経営の安定につながるというわけだ」

oy
「なるほど(イマイチよくわかんないケド…)、それにしても毎度のことながら難しそうな話になってきましたね。お役人がお役人を接待するって、通商産業省のお役人が厚生労働省のお役人を接待したり、その逆だったりということですか」

ttt
「いや、それも少しはあるかもしれないけれども、基本的には本省の国家公務員を地方の地方公務員が接待することで、本省の役人を県庁や市町村などの役人が接待する構図からきている。つまり下が上を接待する、予算の欲しいほうが、予算を握っているほうを接待するわけだ」

oy
「それが先生がよく行く夜の店・・・いや、盛り場に影響を与えるほど多いということですか」

ttt
「これは本省がある東京の場合で、本省の下の行政局がある札幌や仙台とか、名古屋、広島、福岡などは東京の次に栄えているわけだ。また、各県庁所在地には市町村の役人が陳情に行くから、下位者が上位者を接待する構図に変わりはない」

oy
「あ、日本中、地方にまで官官はあるということですね」

ttt
「そう、それでよく考えてごらん。例えば農林水産省に食肉課があったとすれば、本当にあるかどうか知らないけれども、この課長のところには各県の食肉担当の課長なり、部長なりが必ずあいさつや陳情に来る。1県で1回ずつ接待を受けたとして、47都道府県のあいさつを受けると、47回料亭や2次会の飲食店を使うことになる。つまり、ほぼ毎週接待を受ける計算になる。実際には、年に1回ということはないだろうから、あいさつとお礼の年2回で計算すれば、週2回は料亭や飲食店を使うことになる」

oy
「…!ッということは、なるほど、すごい数ですね」

ttt
「これで驚いてはいけない。本省の一つの課でこれだけだから、一つの省庁全体ではこの何十倍ということになる。しかも、省庁の数は1府12省24庁というから、その接待の数は膨大なものだ」

oy
「官官接待が盛り場の景気を支えたという理由が分かります。で、いつから官官接待が禁止されたんですか」

ttt
「それは確か平成11年8月ではなかったかな。民間企業の監督官庁への接待、つまり官民接待を禁じた国家公務員倫理法が制定されたあたりから、官官接待も厳しくなり、現在では全面的に禁止されている。地方自治体が積極的に官官接待を禁止しているし、情報公開法などで接待のチェックが厳しくなっているからね」

oy
「官民接待も禁止されたんですか。これじゃ、先生が大好きな夜の店…いや、盛り場の火が消えのも当然ですね?」

ttt
「官民接待は、もともと賄賂につながるので、倫理的に問題があったからね。当然といえば当然なんだけれど…」

oy
「何か抜け道のようなものはがありそうな…」

ttt
「もちろんあるだろうね。最近では省庁の外郭団体や公社、公団などを隠れ蓑に、これを地方自治体の東京事務所などが接待するという方法が盛んらしい。ま、そうはいってもかつてのように大手を振ってというわけにはいかないから、盛り場の景気を盛り返すほどにはならないだろうね。しょせん、抜け道だからね」

oy
「じゃぁ、民民接待はいいんでしょう。それともなにか、法律的に問題があるんでしょうか」

ttt
「なにも問題ないね。ただ民間企業は経費節減がうるさいし、交際費や営業経費をめぐる税務署のチェックもあるからね。コンプライアンス(法令順守)を拡大解釈して社員の経費を細かくチェックしている会社があるけど、ああいう会社は自分の首を絞めることになるね!」

oy
「そういう会社には、できれば勤めたくありませんね。今日はお話いただき、どうもありがとうございました。ところで、私これから打ち合わせに行くんですが、この経費、事務所から出ますよね…」

ttt
「…」

【日本のホント⑤】川上産業、川下産業そして川中産業

【ホントの本当 その5】

 会社の置かれている立場やポジション、あるいは産業構造を分かりやすく分類、説明する言葉として、川上産業、川下産業という言葉をよく耳にする。
 特に定義のある言葉ではなく、川上に位置する産業といった程度の言葉なので、川上も川下も気軽に使われているようである。ときには、産業ではなく企業という言葉と組み合わせて川上企業、川下企業といった使い方もする。

 こうなってくると川上、川下という用語に、いささか差別感が出てくる。自分の会社が、川下企業といわれるより、川上企業といわれたほうが偉そうである。

 民主主義の歴史が浅い日本では、お上意識というか、お上崇拝が強いから、いまだに上のいうことには従順である。
 したがって、たとえば産業構造の説明に川上産業、川下産業と学術的に無機質に使われたとしても、川上は一流っぽく、川下はどこか卑屈である。

 財界の総本山といえば経団連だが、戦後間もない1948年にスタートしたこの団体の初代会長は日産化学工業の有名な石川一郎社長、二代目は重電機産業である東京芝浦電気の石坂泰三社長、三代目は事務局から会長が出たが、その後は再び東芝、新日鐵、新日鐵、七代目東京電力と続いて、ここまで約45年間。
 会長の出身企業は、すべて素材産業か重厚長大な産業である。つまり財界のトップには、川上産業の出身者でなければ就けなかった。

 45年を経て八代目の会長に就任したのがトヨタ自動車の豊田章一郎会長。やっと川上産業から、少し軽めの組み立て産業出身の会長が現れたのである。
 素材から組み立てに主役が代わるのに45年もかかるのだから日本はすごい国である。

 それでも次の九代目が再び新日鐵だから、川上産業側からの強い揺り戻しがあったものと思われる。
 しかし戦後50年、日本の経済や産業の主導権は高付加価値産業に移っており、素材や重工業では日本の産業をリードできる状況ではなかった。十代目は再びトヨタ自動車の奥田碩会長、そして十一代目の現在はキャノンの御手洗富士夫氏である。

 組み立て産業が財界の主役になったからといって、それでは彼らが川上産業になったのかといえば、そういうことにはならない。彼らにとって、素材メーカーは依然として川上産業なのである。
 ただ組み立てメーカーというのは、その領域が広い。右に伝統的ものづくりの基礎技術を持つ部品産業を抱え、左にはユーザーに直結する流通、サービス産業がある。

 この左右の産業から見れば、トヨタやキャノンのような組み立て産業は川上産業、自分たちは川下産業ということになるだろうが、これでは本来の川上産業である素材やエネルギーのポジションがなくなる。

 そこで最近では、素材、エネルギーなど産業の糧(かて)を川上産業、部品を含めた組み立てを川中産業、消費者の直結する流通、サービスを川下産業というようになっている。

 ちなみに産業の糧でもあるITは川上産業ということになるが、果たして歴史が浅いその経営者たちにその自覚や気概があるかどうかはわからない。
 また、いつの時代も金融は番外で、経団連でもこの業界から会長が選出されないのは不文律で、副会長止まりということになっている。金融で利益を出すのは一種の虚業で、ものづくり的な産業ではないということだろうが、金融損益が大きな比重を占める最近の企業経営は、やはり本来ではないということだろうか。難しい問題ではある。

アングロサクソンとは? ─今さら聞けないソレなあに─

このコーナーは、社会人3年目のoy(お~わい)が、社会の仕組みや日本の常識などさまざまなジャンルで、今さら聞けない基本的な疑問をttt(照井保臣)氏に聞いてみたいと思います

oy
「そういえば最近、アングロサクソンとうい言葉をよく聞くようになりました。なにか、私たちの生活と関係があるんですか?」

ttt
「早耳だね。バブル経済が崩壊してからの日本は、それまでの共同体意識の強いライン型資本主義から、拡大志向のアングロサクソン型資本主義に変わったといわれているんだ」

oy
「えーっと…そもそもアングロサクソンって何ですか。高校時代にチラッと習ったような気がするけれど、たしか、ヨーロッパの民族の名称だったような気が…。それが、どうして経済と関係があるのですか?」

ttt
「その通りだね。本来はドイツに端を発した民族の名前なんだけど、今日の政治、経済にあまりにも大きな影響を与えているので、“アングロサクソン的政治や政治手法”、“アングロサクソン的経済や経済手法”を指して、”あれはアングロサクソンだね”とか、“アングロサクソンだね”という言い方をするんだ」

oy
「なるほど(イマイチよくわかんないケド…)、それにしても難しそうな話ですね」

ttt
「ちょっと難しいけれど、実はとっても身近な話だから、聞いといて損はないと思うよ」

oy
「たとえば、どんな…」

ttt
「たとえば、英語。今度、小学校でも英会話の時間を設けようなんて話があるほどだから、身近も身近、超身近な話だろう」

oy
「はい(英語は得意!…嘘)」

ttt
「この英語が、実はアングロサクソンの言葉なんだ。北部ドイツ、デンマークに住んでいたゲルマン人が、5世紀ごろグレートブリテン島に渡ってイギリスの先住民を征服、これが英語を話すアングロサクソンになった。アングロサクソンは、イングランドのサクソン人という意味で、この征服好きの民族が、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと次々にアングロサクソン人国家を拡大していった」

oy
「…!ッということは、同じ英語を使う国でも、植民地とは違う、アングロサクソン人の国家ということなんですね」

ttt
「そう、征服に失敗したアイルランドでも、人口の大半はケルト人なのに、英語だけは押し付けに成功しているからね。というより、いまや英語は世界一の共通語だから、世界中に押しつけが成功したともいえる」

oy
「どうして、英語が世界一の共通語になったんでしょう。フランス語でもよかったのに…。簡単だからですか」

ttt
「日本語に比べたらね。しかし、英語が共通語になった本当の理由は、政治、経済で彼らの方式が、グローバルスタンダード、世界基準になっているからだろうね」

oy
「世界基準ですか?」

ttt
「そう、たとえば政治では、多数決型民主主義とか、二大政党制。経済では市場型資本主義や自由主義型福祉国家とかがアングロサクソン的なものといわれているけれども、本当にすごいのは、こんなレジーム(政体、制度)ではなくて、それを裏付けているルールのグローバルスタンダードを、彼らが抑えていることなんだ」

oy
「だんだん話が難しくなってきた…」

ttt
「一番肝心なところだからね、話が。で、ルールのグローバルスタンダードなんだけれど、たとえば米ドルは世界の基準通貨だし、ロンドンのシティは金融、保険、金など商品取引のグローバルスタンダードを抑えている。しかも、政治や経済だけでなく、子午線のグリニッヂ標準時は世界の地方標準時の基準だし、メートル法や産業革命に端を発した文化や産業、それに学術などすべての分野でのグローバルスタンダードは、アンゴロサクソンが抑えている」

oy
「すごい。でも、どうして他の民族なり国はアングロサクソンに勝てないのかしら」

ttt
「そこなんだよ、今日の話のポイントはっ!」

oy
「と、いうと…」

ttt
「アングロサクソンの征服、開拓精神というか、いわゆる拡大志向は勝手にアメリカを世界の警察にさせ、経済では、大企業になることが最重要で、中小企業を買い集めて手段を選ばず大会社にする。そして、その裏付けとして巨大な軍事力や、強いドルを支える市場ベース型資本主義があるということだ」

oy
「つまり、アングロサクソンの世界支配を可能にしているのは、その裏付けがしっかりしているということなのね」

ttt
「そのとおり。今ここで何を言いたいかといえば、形だけを真似しても駄目だということなんだ。バブル経済崩壊後、アングロサクソン化へ舵を切った日本の金融機関は、国際競争力をつけるためといって、経営効率を重視する経営に乗り出し、それが結果的に富裕層重視、弱者切り捨てという冷徹な実体経済を日本中にまき散らしている。また、企業もこの流れの中で金融市場依存型になり、やたらにIR(企業広報)などで株主を重視するあまり、従業員の共同体意識は低下し、忠誠心もかつてないほど荒廃しているというわけだ」

oy
「では、どうすればいいんですか。先生の考えでは」

ttt
「僕は学者や政治家ではないから、これといった考えがあるわけじゃないけれど、はっきりしているのは、このままでは日本は駄目になるかもしれないということだね。バブル崩壊の経験から、日本の経済システムをアングロサクソン型にしなければならないというなら、そうすればいい。ただし、日本型資本主義のいいところ、たとえば効率は悪くても長期的視野に立った投資を国家が優遇し、国民経済が長期的に発展するような施策をどこかでやっておかないといけない」

oy
「そういえば、最近は目先のことばかりにこだわっているような、そんな社会の風潮があるような気がしますね」

ttt
「あるね、金さえ儲かれば正義だという風潮が。金儲けが悪だとは思わないけれど、決して正義ではないよね。最近の企業なんか、物書きの僕に、ビジネスでお付き合いしましょうなどと平気な顔でいわれると、経営者がみんな貧相に見えてしまう。可哀そうに…」

oy
「金儲け優先社会とは、なんだか情けないですね」

ttt
「自民党は竹中平蔵大臣のもとで、徹底したアングロサクソン化を押し進めてやっと景気を持ち直しつつあるが、その結果が、この荒廃だからね。また竹中待望論もあるようだけれども、彼は日本型資本主義のいいところは一つも残せなかったという程度の学者だったということを肝に銘じておきたいね」

oy
「むむ…。相変わらず、手厳しいですね。それでは、今日はこれで。またお話を聞かせてきださい」

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