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【鹿島所得隠し】キヤノン利権30億円疑惑の会社

大手精密メーカー「キヤノン」の大分での工場建設をめぐり、東京国税局から総額約30億円の申告漏れを指摘された大手ゼネコン「鹿島」の所得隠しは6億円。このうち鹿島が使い道を明らかにせず、使途秘匿金として制裁課税されたのが5億円に上ることが明らかになった。
 この裏金は一体どこに消えたのか。

 これらの金の流れについては現在、東京国税局が詳しく調べている模様だが、その大半の受け皿とみられているのが大分市のコンサルタント会社「大光」。
 報道によれば同社は、キヤノン子会社2工場建設を巡って鹿島から受領した裏金や仲介手数料など約30億円を申告しなかったとして、東京国税局の強制調査(査察)を受けている。(12月11日付、毎日新聞)

 金の流れはいずれ明らかにされるだろうが、このコンサルタント会社の大賀規久社長が、キヤノン会長で日本経団連の御手洗富士夫会長と「高校の後輩でもあり、友人に近い関係。会食で一緒になることもあった」というキヤノンの説明だから、話は突然きな臭くなる。

 御手洗会長は10日の定例記者会見で、「大光が鹿島とどういう関係にあるか分らないし、私はまったく関係ない。…非常に驚いており、大変迷惑している」と話しているが、まったく関係ないですむかどうかはまだ分からない。
 というのも、『日刊ゲンダイ』(11月12日)によればこのコンサルタント会社の大賀社長の兄で監査役の男性は、御手洗会長と地元高校の同級生で、キヤノンにも同期入社の間柄。のちにキヤノンを退社しているが、弟の社長ともども御手洗会長とは長い付き合いがあるという。

 こういう間柄であれば、「私はまったく関係ない。大変迷惑している」というのもなんとなく白々しい。
 それにあらぬか、前出の毎日新聞によれば、大光は問題のキヤノン子会社2工場近くで工場の従業員向け寮を建て、運営していたことが分かった。この寮は現在、2階建ての5棟が立っており、派遣会社から派遣された従業員など200人以上が入居している。
 これについて同紙は、鹿島から資金を得た後も、キヤノン関連の「利権」を握り続けようとしたものとみられる、と指摘している。

 また大賀氏が社長の警備会社「デューク」は、2工場の警備業務を請け負っている。
 つまり、コンサルタント会社の大光は、単なる斡旋や仲介料などを稼ぐ建設のコンサルタント会社ではなく、明らかにキヤノンに関連した事業を展開する会社でもあるということ。

 キヤノンと大光は資本関係にはないかもしれないが、寮の運営や関係会社の警備の請負など、御手洗会長と大賀社長の友人関係を背景として、両社は事業でもつながりがあるのである。

 これで、「私はまったく関係ない」と御手洗会長が断言するのは、いかにも胡散臭い。
 大光が単なるコンサルタント会社でないとすると、未申告で使途不明となっている鹿島からの30億円の行方も、建設関係だけではなく、事業を展開するキヤノン側に流れている可能性が出てくる。

 建設会社から施主に工事代金の一部がバックマージンとして様々な形で還流する話はよく聞くことなのでそれほどの驚きはないが、事件の舞台がキヤノンということになると、ことは重要である。
 キヤノンが単に日本を代表する一流企業というだけではない。その会長の御手洗氏は日本経団連の会長なのである。

 日本の財界トップの重みというのは、普通の一流企業のそれとは違う。キヤノンは今回の事件について、「鹿島は社内の正規の審査過程を経て施工業者に採用した。建設会社(大光、注・筆者)の関与は承知していない」とコメントしているが、こんなことでは済まされない。

 寮の運営など、大光のキヤノンの事業に関与している事実が明らかになった以上、キヤノンも御手洗会長も財界のトップ企業としてその疑念を晴らすために、大光との関係を説明する義務がある。それがトップ企業の責務というものである。
 キヤノンと御手洗会長は、自分たちの会社の工場建設をめぐって、所得隠しや裏金づくりが行われたという事実を、もっと重く受け止めなければならないのである。

【F1 二大スパイ疑惑】マクラーレンとルノーの思惑

今年2007年のF1界は、スパイ疑惑にあけ、スパイ疑惑に終わった年であった。
 一つめのスパイ疑惑は、フェラーリのマシン情報をマクラーレンが入手、利用したというもので、これは有罪。1億ドルの罰金と2007年のコンストラクターズ・チャンピオンシップ(チーム選手権)のポイント(得点)はく奪というペナルティーを課した。また来年2008年マシンについては、12月に改めて調査し、処分を決定するというものであった。

 二つめのスパイ疑惑は、マクラーレンのマシン情報をルノーが入手、利用したというもので、これも有罪。ただし、現時点でペナルティーは課されていない。有罪なれど処分なしということである。

 今年のF1界を揺るがしたスパイ疑惑はこれで一応決着したかに見えるが、実は、ことはそう簡単ではない。
 どちらの事件も、問題を来年に持ち越している。しかもこの二つのスパイ事件は、微妙に関連しているのである。

 まずマクラーレンのスパイ疑惑だが、今問題になっているのは、来年用の2008年マシンに関してである。
 ことし9月13日、FIAの世界モータースポーツ評議会(WMSC)がマクラーレンに下したスパイ疑惑に対する裁定の中に、次の一項があった。「2008年条項」といわれるものである。

「WMSCは、2008年マクラーレン・マシンの詳細な技術報告書を受け取り、チームに対して2008年シーズンに処分を適用する場合はその処分について2007年12月に話し合う」

 つまり、2008年マシンのスパイ疑惑はまだ終わっていないから、FIAが調査したうえで、12月に結論を出すといっているのである。
 そして現実にFIAはマクラーレンの2008年マシンを調査し、WMSCは12月7日、その結論は来年、2008年2月14日に開かれるWMSCの臨時総会に持ち越されると発表した。

 どうして持ち越されることになったのか。理屈はいろいろつけられているが、関係者の間では、これはルノースパイ事件に関係してのことではないかとみる向きも少なくないのである。

 というのは、マクラーレンは自分に対するスパイ疑惑の裁定が下ってから、つまり9月13日以降にルノーのスパイ疑惑をFIAに提訴している。
 マクラーレンがどういうつもりでルノーを提訴したかは憶測するしかないが、少なくても自分がやった程度のスパイ行為なら、ほかでもやっているという自己弁護というか、証明にはなる。

 しかし、こんなことはいちいち証明しなくても、スパイ行為が技術者やドライバーの異動などで日常茶飯事に行われているのは周知の事実となっているし、裁定後はマクラーンに同情の声が上がっている状況では、あえて提訴する理由にはならない。

 したがって、マクラーレンがルノーの提訴に踏み切ったのは、もっと別の、高度で政治的な理由があったと思われる。

 そこで考えられるのが、FIAが下した2008年条項に対する牽制(けんせい)である。
 マクラーレンは、「来年2008年マシンにまでがたがたいうようなら、ルノーも同じ目にあわせるぞ」といっているのである。そして案の定、ルノーは有罪になった。

 ルノーはペナルティーなしの有罪になったのだから、これでマクラーレンの駆け引きのカードがなくなったと思ったら大間違い。実は、ルノーに対するこの裁定は、すでに織り込み済みなのである。

 どういうことかというと、マクラーレンも7月26日に行われた最初のFIA裁定ではルノーと同じように、「有罪なれどペナルティーなし」だったのである。
 簡単にいえば、情報は入手していたが利用したという確たる証拠がないというものであった。これはルノーの場合と、まったく同じケースである。

 ルノーに裁定が下された後、英国のジャーナリストを中心に、「FIAはルノー贔屓のダブルスタンダードの裁定を下した」と批判の声を強めているが、必ずしもこれは的(まと)を得ていない。少なくてもここまでは、ダブルスタンダードといわれるほどの差はない。

 問題は、ここから先。
 マクラーレンの場合は、最初の裁定以後、技術者やドライバーにスパイ情報が流れていたという新事実が判明した。つまり虚偽の申請をしていたということで疑惑が強まり、改めてペナルティーが下されたのである。

 では、ルノーの場合はどうなのか。
 今のところ知恵者のフラヴィオ・ブリアトーレ代表は、非常に巧妙に立ち回っている。つまり最初から情報をもっていたという有罪を認め、マクラーレンの立ち入り調査まで許して、虚偽の申請でペナルティーを受けないように用心している。

 しかしこれでルノーが万全かといえば、必ずしもそうではない。肝心の、マシンに情報を利用したことは認めていないのである。
 おそらくブリアトーレ代表は、マクラーレンの例(ケース)から技術情報の利用を証明することが非常に難しいことを学んでいるのである。

 とはいっても、マクラーレンが技術情報の利用を絶対に証明しないという保証もない。いつ、マクラーレンが提訴してくるかわからないのである。

 そこで、FIAとしては、マクラーレンへの2008年条項の結論を先延ばしすることで、「ルノーにはこれ以上手を出すな」と、逆牽制に出たと見られているのである。

 2008年条項を避けたいマクラーレン。スパイ疑惑でペナルティーを受けたくないルノー。
 この両者の思惑が、とうとうスパイ疑惑事件を越年させてしまった。それなら両者痛み分けにすればいいようなものだが、ことはそう簡単ではない。

 というのは、来年2008年マシンの仕上がり次第では、まだまだひと波乱も、ふた波乱もありそうなのである。
 というのは、マクラーレンの2008年マシンがフェラーリより速いなら、フェラーリは確実にそれを潰(つぶ)しにかかる。その手段として、2008年条項で再びコンストラクターズ・ポイントをはく奪するのが最も確実で手っ取り早いからである。

 また、マクラーレンにしてもルノーがまたアロンソの加入で頭をもたげてくるようなら、徹底的にスパイ疑惑でたたきつぶしたいという思惑がある。
 そのことを分かっているから、ルノーのブリアトーレ代表は、このところ行動や発言が慎重である。と見えるのは、考えすぎであろうか。

 それはとにかく、こうした三者三様の思惑を考えると、2008年条項の結論を2月14日に出すよう先延ばししたというのは非常に微妙な日程である。ちょうどこの時期が、2008年マシンの性能が評価され始めるころで、当然各チームの思惑も表面化するからである。
 F1界は、クリスマス休暇どころか、2月中旬に向けてまだまだ目のはせない状況が続きそうである。

【日本のホント⑤】川上産業、川下産業そして川中産業

【ホントの本当 その5】

 会社の置かれている立場やポジション、あるいは産業構造を分かりやすく分類、説明する言葉として、川上産業、川下産業という言葉をよく耳にする。
 特に定義のある言葉ではなく、川上に位置する産業といった程度の言葉なので、川上も川下も気軽に使われているようである。ときには、産業ではなく企業という言葉と組み合わせて川上企業、川下企業といった使い方もする。

 こうなってくると川上、川下という用語に、いささか差別感が出てくる。自分の会社が、川下企業といわれるより、川上企業といわれたほうが偉そうである。

 民主主義の歴史が浅い日本では、お上意識というか、お上崇拝が強いから、いまだに上のいうことには従順である。
 したがって、たとえば産業構造の説明に川上産業、川下産業と学術的に無機質に使われたとしても、川上は一流っぽく、川下はどこか卑屈である。

 財界の総本山といえば経団連だが、戦後間もない1948年にスタートしたこの団体の初代会長は日産化学工業の有名な石川一郎社長、二代目は重電機産業である東京芝浦電気の石坂泰三社長、三代目は事務局から会長が出たが、その後は再び東芝、新日鐵、新日鐵、七代目東京電力と続いて、ここまで約45年間。
 会長の出身企業は、すべて素材産業か重厚長大な産業である。つまり財界のトップには、川上産業の出身者でなければ就けなかった。

 45年を経て八代目の会長に就任したのがトヨタ自動車の豊田章一郎会長。やっと川上産業から、少し軽めの組み立て産業出身の会長が現れたのである。
 素材から組み立てに主役が代わるのに45年もかかるのだから日本はすごい国である。

 それでも次の九代目が再び新日鐵だから、川上産業側からの強い揺り戻しがあったものと思われる。
 しかし戦後50年、日本の経済や産業の主導権は高付加価値産業に移っており、素材や重工業では日本の産業をリードできる状況ではなかった。十代目は再びトヨタ自動車の奥田碩会長、そして十一代目の現在はキャノンの御手洗富士夫氏である。

 組み立て産業が財界の主役になったからといって、それでは彼らが川上産業になったのかといえば、そういうことにはならない。彼らにとって、素材メーカーは依然として川上産業なのである。
 ただ組み立てメーカーというのは、その領域が広い。右に伝統的ものづくりの基礎技術を持つ部品産業を抱え、左にはユーザーに直結する流通、サービス産業がある。

 この左右の産業から見れば、トヨタやキャノンのような組み立て産業は川上産業、自分たちは川下産業ということになるだろうが、これでは本来の川上産業である素材やエネルギーのポジションがなくなる。

 そこで最近では、素材、エネルギーなど産業の糧(かて)を川上産業、部品を含めた組み立てを川中産業、消費者の直結する流通、サービスを川下産業というようになっている。

 ちなみに産業の糧でもあるITは川上産業ということになるが、果たして歴史が浅いその経営者たちにその自覚や気概があるかどうかはわからない。
 また、いつの時代も金融は番外で、経団連でもこの業界から会長が選出されないのは不文律で、副会長止まりということになっている。金融で利益を出すのは一種の虚業で、ものづくり的な産業ではないということだろうが、金融損益が大きな比重を占める最近の企業経営は、やはり本来ではないということだろうか。難しい問題ではある。

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